■産婦人科医と小児科医の偉業について
劣悪な環境で働いているのは、小児科医だけではありません。産婦人科医も同様です。
産婦人科医の先生方のご尽力により出産にともなう妊婦死亡数も新生児死亡数も大幅に
改善されることになったにもかかわらず、訴訟件数は年々増えています。
産婦人科医と小児科医が分娩出産を管理するようになってから、すでに50年以上経過
しており、今でこそ世界最高の医療水準を誇っていますが、それ以前は大変でした。
50年前の妊婦死亡数が年間1760人です。それが今では100人を割り込むレベル
にまで改善され、新生児死亡数は3万3千人が500人以下まで減少しています。
■過酷過ぎる産婦人科医の実態
産婦人科医の先生方は、分娩や夜間緊急の手術や診療で「 忙殺 」されます。
とにかく仕事は毎日ハードにこなさなければなりません。
当然のことながら、生まれてくる子供たちの「出産日」を遅らせたり、逆に早めること
は不可能です。ママさんの容態もいつどう変わるか予測することができません。
突発的に色々なトラブルが生じるわけですが、状況に応じて優先順位を決め、目の前の
仕事をこなさないと「 臨機応変 」に対応することができません。
こうした過酷な状況にありながら、一向に改善される兆しがありません。
小児科医と産婦人科医は過酷な当直をこなさなければなりません。
他の診療科からの転科が少ない大きな理由の一つとなっています。
一回の当直で30時間以上働かせながら、当直代を削ろうとする動きがあります。
■当直代を抑えようとする動きが広がる
驚くべきことに「当直代」が支払われないケースがります。病院に限ったことではない
のですが、当直勤務は労働時間として数えられていないケースが少なくありません。
深夜時間外・深夜割増などの賃金支払が行われれば、当直代として支払う義務はありま
せん。これは「 一般企業 」であれば、これでいいかもしれません。
当直代は、医師の給料のかなりの部分を占めます。
ですので、勤務先の病院でこれをやられてしまうとたまりません。
「年俸制」と称し、当直代が支給されないケースもあるので注意して下さい。
当直代をできるだけ抑えたいと考える病院は実際に少なくありません。
病院の規模に関係ありません。「ここの病院は大きいから大丈夫だろう」と、楽観する
のは大変危険です。この点に関してはきちんと確認しましょう。