■医師を取り巻く環境が大きく変化!
医師を取り巻く環境が、過去数年間において劇的な変化を遂げています。
今では自らキャリアを選択しなければなりません。
欧米では当たり前のことですが、日本では「 医局 」によって医師としての生き方が
決められていたと、いってもいい状態が明治以来長らく続いていました。
このため医師としてのキャリアを考える機会もほとんとありませんでした。
ですので、いきなり自分で考えろといわれても困ってしまうわけです。
■キャリアに悩む医師が増えている
どの診療科目を選ぼうとも、専門医の取得までには長い期間を要します。
大変な苦労をされて皆さん専門医になられます。
しかし、やっとの思いで専門医を取得してから「自分には向いていない」と思って、
他の科に転科しようにも、当然のことながらそう簡単にはできません。
失敗したくないという思いから、診療科目を選ぶのに慎重になりすぎてしまいます。
その結果として色々と考えすぎてしまうので選べなくなるわけです。
こうした傾向は若手医師だけではありません。中堅医師、ベテラン医師の中でも自身
の「キャリア」について悩まれている方が増えているのが現状です。
■キャリアを考える機会が少なすぎる!
医学部は、他の学部と比べても閉ざされています。
同じ大学であっても、ほかの学部の学生と交流する機会がほとんどありません。
このため他の学部の学生のように自分自身のキャリアを真剣に考え、それにあわせて
就職活動を展開し、仲間同士で刺激しあうといった機会に触れることがありません。
しかも医学生は、6年間必死に勉強しなければならないので、そうした環境に対して
疑問を持つ暇すらなく、研修医になればさらに忙しい環境が待っています。
ですので、自分のキャリアを考える機会がそもそも少なすぎるわけです。
■医学部のキャリア教育導入が急務
少子化のためどこの大学も生き残りをかけて必死です。
そのために就職率を高めて質の高い就職先を確保し続けなければなりません。
ですので多くの大学で専門学校顔負けのキャリア教育が実施されています。
早いところでは1年生の段階で自己PR、自己分析、コミュニケーション能力を高める
ためのトレーニングを兼ねた厳しい講義が年間を通じて行われています。
その姿を初めてみたときに圧倒されました。ゆとり世代と揶揄する声もありますが、
私個人的には今後素晴しい人材が創出されることを信じています。
しかし医学部はどうかというと、こうしたキャリアに関する教育がありません。
研修医となっても「仕事は盗んで覚える」といった時代錯誤な現場至上主義がまかり
通っています。一日も早くキャリア教育が導入されることを願っています。